奉仕活動は強制です!

 

こんにちは。

火曜担当の大野です。

 

震災復興や地域の課題解決のためにボランティア活動を行っている方がたくさんいらっしゃることと思います。最近では東京オリンピックのボランティア選考が行われましたね。

 

もともとボランティアとは、voluntaryという形容詞が「自発的な」とか「自由意思をもった」という意味を持つことからも分かるように、自分の意思で志願して進んでその活動を行うことを表します。

 

ボランティアをするとなると、ある種の覚悟を持った上で活動に参加するイメージがなくもないですが、英語表現では少し軽めな感じでも使われるケースが多いことを知りました。

例えば先生が生徒たちに「ちょっと手伝ってくれる人、いる?」という時などがそうです。

 

ですが辞書にはMandatory volunteer、直訳すると強制的なボランティアという言葉も見られます。さて一体何のことでしょう?答えは「学校におけるボランティア活動」です。

 

息子が通う学校のプログラムは「学問」「野外教育」「部活・クラブ活動」「社会教育」「奉仕活動」という5本の柱に沿って組まれています。

 

小学校高学年で息子がこの学校に転校して印象的だったのは奉仕活動の充実ぶりでした。幼稚園から高校までの生徒約3000人全員が「強制的に」何かしらの奉仕活動を行っています。幼稚園児にとっては全員参加の行事でいつの間にか終わっていた、という程度ですが、小学生になると必須選択式になり通年で活動に参加します。

 

活動内容は校内、シンガポール内、海外で分かれていて、昼休みに低学年の子たちと遊ぶ、校内の緑化活動、児童養護施設で英語を教える、保護動物のお世話、海外支援NPOとの協業など多岐にわたり、中学生対象のものだけでも50種類を数えます。

活動時間もランチタイムや放課後、週末と様々なので、生徒の目的と都合に合わせて選択ができるようになっていて。

 

小学生だった息子が最初に選んだ活動は「学校中の古紙集め」。週に一度キャンパス内を回って紙という紙を集め、裏紙として使えるものとリサイクルに回すものに分けて所定の場所に収めるという内容です。ずいぶん地味なのを選ぶなぁと思っていましたが、どれだけの紙をゴミにせずに済んだかがひと目で分かるので達成感があったようでした。そして、転校してすぐに校内を隅々まで知ることができて良かったという、現実的なメリットも(笑)

 

その後は、マレー半島の東側にあるティオマン島のウミガメ保護施設に関わる活動(TiomanTurtles)や、カンボジアのとある村に雨風で壊れない高床式の家を建てるための活動(Tabitha)などを経て、高校生となった今は障がい児のための水泳教室のアシスタントコーチをしています。

 

これらの奉仕活動は「ボランティア」ではなく「サービス」と呼ばれます。

娘が学校に行き始めるまで、サービスという言葉は商業的な場面で耳にすることが多かったですし、英語力の乏しさから奉仕活動=ボランティアだと思っていたので、初めて聞いた時は学校でサービス?何の?というありさまでした。

 

サービスを辞書で引くと、奉仕・役に立つこと・公共事業などとありますから、「誰かのために役に立つこと」という意味合いを込めているのですね。強制的なボランティアと言われるよりはずっと前向きな印象です。

 

小さな頃から「誰かのために役に立っている自分」を知ることは、物事に自発的に取り組む姿勢や社会的な存在意義を確かめることに大きく影響するように思います。

ですがサービスの目的はそればかりでなく、世の中に対する疑問を持つ機会を、自身の体験として得られるところに真の意味があるのではないかと感じています。

 

息子も年齢を重ねるうちに、沸き起こった疑問を基に彼なりの課題を導き出すようになりました。なぜカンボジアのあの村の人たちが雨で流れ風で吹き飛ぶ葉っぱと枝でできた家に住むことになっているのか、お金を稼げない理由はなにか、その原因は村の人々だけにあるのか、歴史的な背景は?、どこに責任があって何が足りていないのか、といった具合です。

 

その地に赴き、凄惨な過去を知り、簡素なものとは言え中学生80人で家40棟分の建築費用を生み出し、自ら完成させて帰宅した息子の顔に笑顔はなく、何かが14歳の彼の心に渦巻いているようなそんな表情でした。村のおばあちゃんの喜びの涙、私たちには到底想像もつかないほど辛い捕虜の日々を伝えてくれた語り部の方の言葉だったのかもしれません。

 

誰かのために役立とうとすることで自分が鍛えてもらっているということに気付くかな、自分事として捉えられる心の強さを身につけてくれたらいいな、と願うとともに、そんな教育を受けられる子供たちをちょっと羨む母でした。

ではまた次回!

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